座標変換してもシステムの安定性は保存する

結論

安定(不安定)な線形システムを座標変換しても、安定(不安定)だということを述べる。

つまり:

線形システム\begin{eqnarray}\dot{x}(t) &=& Ax(t)+Bu(t)  \\ y(t)&=&Cx(t) + Du(t) \end{eqnarray}

の状態 \(x(t)\) を別の状態 \(z(t)\) に \(x(t) = Tz(t)\) (\(T\) は正則行列)で座標変換したとき、

システムの安定性は保存する。

 

※状態空間表現についてはこちらをご覧ください。

※安定性についてはこちらをご覧ください。

 

わかること

解析しやすくするため、システムを座標変換したとき、

「急にシステムが暴走する事態は発生しない」と保証できる。

 

以下の状態空間表現のモデルを考える。

\begin{eqnarray}&\frac{d}{dt}\begin{pmatrix} x_1 (t) \\ x_2 (t)\end{pmatrix}&=\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -6 & -5\end{pmatrix}\begin{pmatrix} x_1 (t) \\ x_2 (t)\end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 0 \\ 1\end{pmatrix}u(t) \\ &y(t) &= \begin{pmatrix} 1 & 0 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x_1 (t) \\ x_2 (t)\end{pmatrix}\end{eqnarray}とかける。

このシステムの \(A\) の固有値は \(-2, -3\) であるので、漸近安定である。

 

次にこのモデルを座標変換する。ここでは

\[\begin{pmatrix} x_1 (t) \\ x_2 (t)\end{pmatrix} =\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ -2 & -3 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} z_1 (t) \\ z_2 (t)\end{pmatrix}\]

とする。

※この正則行列 \(T\) は適切に選ぶ。さまざまな方法が提案されている。

 

座標変換を代入・整理・計算すると、モデルは以下のように書き直すことができる。

\begin{eqnarray}&\frac{d}{dt}\begin{pmatrix} z_1 (t) \\ z_2 (t)\end{pmatrix}&=\begin{pmatrix} -2 & 0 \\ 0 & -3\end{pmatrix}\begin{pmatrix} z_1 (t) \\ z_2 (t)\end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 1 \\ -1\end{pmatrix}u(t) \\ &y (t)&= \begin{pmatrix} 1 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} z_1 (t) \\ z_2 (t)\end{pmatrix}\end{eqnarray}

この変換後のシステムの \(A\) をみるとわかるように、

システムは漸近安定である。

 

座標変換しても、

漸近安定(暴走しない)・不安定(暴走する)という性質は変わらない。

 

証明

「元のシステムが漸近安定ならば、座標変換後のシステムもまた漸近安定」であることを示す。

\begin{eqnarray}\dot{x}(t) &=& Ax(t)+Bu(t)  \\ y(t)&=&Cx(t) + Du(t) \end{eqnarray}

の状態 \(x(t)\) を別の状態 \(z(t)\) に \(x(t) = Tz(t)\) (\(T\) は正則行列)で座標変換すると

\begin{eqnarray}\dot{z}(t) &=& T^{-1}ATz(t)+T^{-1}Bu(t)  \\ y(t)&=&CTz(t) + Du(t) \end{eqnarray}

となる。

このとき相似変換 \(T^{-1}AT\) の固有値は \(A\) の固有値と一致する。

したがってシステムの安定性は座標変換しても保存する。

 

参考文献

[1] 梶原 “線形システム制御入門,” コロナ社, 2000.

北海道大学大学院情報科学研究科修士課程修了。
機械メーカにて開発業務に従事したのち、フリーのエンジニア・講師として活動中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です