線形システムの可観測性

目的

線形システムの可観測性について述べる。

ざっくり言うと

「センサの測定値(出力 \(y(t)\))から、システムの状態 \(x(t)\) の値を計算できるか」

状態空間表現から調べる。

状態空間表現についてはこちらをご覧ください。

 

定義(線形システムの可観測性)

線形システム \(\dot{x}(t) = Ax(t)+Bu(t), \ y(t) = Cx(t)\) が可観測であるとは、

任意の有限時間 \(0 \leq t \leq T\) の入力 \(u(t)\) と出力 \(y(t)\) から、

初期状態 \(x_0\) を一意に決定できること。

 

可観測性を満たすシステムは可観測であるといい、

また \((A,C)\) は可観測対であるという。

可観測でないとき、システムは不可観測であるという。

 

条件

\(n \) 次元線形システム

\begin{eqnarray}\dot{x}(t) &=& Ax(t)+Bu(t)  \\ y(t)&=&Cx(t) \end{eqnarray}

が可観測であるためには以下を確認すればよい。

\begin{eqnarray}{\rm rank} \begin{pmatrix}C \\ CA \\ \vdots \\ CA^{n-1} \end{pmatrix}=n \end{eqnarray}

なお、条件内にある行列を可観測性行列という。

\begin{eqnarray}U_O=\begin{pmatrix}C \\ CA \\ \vdots \\ CA^{n-1} \end{pmatrix}\end{eqnarray}

日本語でいうと:

線形システムが可観測である条件は

可観測性行列がフルランク

 

バネのシステムが可観測かどうか調べる。

\begin{eqnarray}&\frac{dx_1 (t)}{dt} &= x_2 (t) \\ &\frac{dx_2 (t)}{dt}&=-\frac{k}{m} x_1(t)- \frac{c}{m} x_2(t) + \frac{1}{m}u(t) \\ &y(t) &= x_1 (t)\end{eqnarray}

このシステムの \(A,B,C,D\) 行列は

\[A=\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -\frac{k}{m} & -\frac{c}{m}\end{pmatrix}, \ B=\begin{pmatrix} 0 \\ \frac{1}{m}\end{pmatrix}, C=\begin{pmatrix} 1 & 0\end{pmatrix}, \ D=0 \]

である。

\[C=\begin{pmatrix} 1 & 0\end{pmatrix}, \ CA=\begin{pmatrix} 1 & 0\end{pmatrix}\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -\frac{k}{m} & -\frac{c}{m}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 & 1\end{pmatrix}\]

より、バネのシステムの可観測性行列は

\begin{eqnarray}\begin{pmatrix}C \\ CA\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & 0\\ 0 & 1\end{pmatrix}\end{eqnarray}である。この可観測性行列がフルランクであるため、

バネのシステムは可観測である。

 

「バネのシステムが可観測」だとわかったことで言えること:

バネに装着された変位センサの値を眺めていれば、

バネの変位 \(x_1(t)\), 速度 \(x_2(t)\) どちらもセンサの値から推定可能。

バネ以外のシステムでも同様なことが言える。

 

参考文献

[1] 梶原 “線形システム制御入門,” コロナ社, 2000.

北海道大学大学院情報科学研究科修士課程修了。
機械メーカにて開発業務に従事したのち、フリーのエンジニア・講師として活動中。

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