状態空間表現のモデル化 実例:バネ編

目的

制御理論のモデルを得る一例として、バネの状態空間モデルを求めます。

注意:この方法は他の制御対象のモデル化にも応用できます。

注意2: 状態空間表現についてはこちらをご覧ください。

 

本題

ダンパを有するバネの運動を考える。

このバネの運動方程式は以下のようになる(※1)。

\[m\frac{d^2y(t)}{dt^2} + c \frac{dy(t)}{dt}+k y(t) = u(t) \tag{1}\]

ただし \(m>0\) は質点の質量、 \(c > 0\) は減衰係数、 \(k>0\) はバネ定数。

 

このバネは

・外力 \(u(t)\)を制御量として自由に与えることができる。

・変位センサ \(y(t)\)が備わっており、各時刻で変位が取得できる。

という状況だとする。

 

ここで以下のようにする。

・外力 \(u(t)\)を入力と呼ぶ(※2)。

・変位センサの値 \(y(t)\) を出力と呼ぶ(※2)。

・バネの変位を \(x_1(t)\) とする(※3)。

・バネの速度を \(x_2(t)\) とする(※3)。

 

ここで変位センサの値 \(y(t)\) は

\[y(t) = x_1 (t) \tag{*}\]

という式が成り立つ。

 

また「バネの変位の微分」は「バネの速度」であるので

\[\frac{dx_1 (t)}{dt} = x_2 (t) \tag{**} \]

が成り立つ。

 

さらに (1) を \(x_1, x_2\) を用いて表記すると

\[m \frac{dx_2 (t)}{dt}=-k x_1(t)- c x_2(t) + u(t) \tag{***}\]

 

以上の議論より、

バネの挙動は (*), (**), (***) を用いて、以下でも説明できる。

\begin{eqnarray}&\frac{dx_1 (t)}{dt} &= x_2 (t) \\ &\frac{dx_2 (t)}{dt}&=-\frac{k}{m} x_1(t)- \frac{c}{m} x_2(t) + \frac{1}{m}u(t) \\ &y(t) &= x_1 (t)\end{eqnarray}

 

次にこの方程式らを行列を用いて表記する。

\[x(t)=\begin{pmatrix} x_1 (t) \\ x_2 (t)\end{pmatrix}, \ A=\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -\frac{k}{m} & -\frac{c}{m}\end{pmatrix}, \ B=\begin{pmatrix} 0 \\ \frac{1}{m}\end{pmatrix}, C=\begin{pmatrix} 1 & 0\end{pmatrix}, \ D=0 \]

とすると

\begin{eqnarray}&\underbrace{\begin{pmatrix} \frac{dx_1 (t)}{dt} \\ \frac{dx_2 (t)}{dt}\end{pmatrix}}_{\text{\(\dot{x}(t)\)}} &= \underbrace{\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -\frac{k}{m} & -\frac{c}{m}\end{pmatrix}}_{\text{\(A\)}}\underbrace{\begin{pmatrix} x_1 (t) \\ x_2 (t)\end{pmatrix}}_{\text{\(x(t)\)}}+\underbrace{\begin{pmatrix} 0 \\ \frac{1}{m}\end{pmatrix}}_{\text{\(B\)}}u(t) \\  &y(t) &= \underbrace{\begin{pmatrix} 1 & 0\end{pmatrix}}_{\text{\(C\)}}\underbrace{\begin{pmatrix} x_1 (t)\\ x_2 (t)\end{pmatrix}}_{\text{\(x(t)\)}} \end{eqnarray}

となる。これでバネの運動を状態空間表現で表現できた。

この式で得られた \(A,B,C\) がバネの特性を記述する大切な部分だと言える。

この行列 \(A,B,C\) を調べることで、バネの動きを解析・制御できる。

 

※1:物理などの知識を使って、

エンジニアが制御したいモノの運動方程式を立てる必要がある。

※2:入力、出力はそれぞれ「制御装置」、「センサ」に対応している。

そのため、機械的に扱ってよい。

※3:\(x_1, x_2\)はエンジニアが適切に決める。

今回はバネの変位・速度とすると、都合が良いのでこう設定した。

 

参考文献

[1] 梶原 “線形システム制御入門,” コロナ社, 2000.

北海道大学大学院情報科学研究科修士課程修了。
機械メーカにて開発業務に従事したのち、フリーのエンジニア・講師として活動中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です